有床施設は医科では古くから存在し、現在のように病院が増える前から1.5または2次医療機関として国内では広く周知され国民の健康を守ってきた。
歯科ではどうだろうか?やはり歯科でも同様に以前は全国に120カ所を超える有床歯科施設があったと聞いているが、現在は登録施設数は40カ所程度に減少、実際に稼働しているのはさらに少ないと思われる。
以前の有床歯科施設は急性期疾患の受け皿だったが、これからは訪問診療の後方支援歯科施設として新たな役割が期待されている。
口腔外科や歯科麻酔科専門医が大学病院や総合病院で培ってきた知識とスキルを存分に発揮できる分野である。統計的に約2%が大学教授や総合病院のトップに就くという報告もある。言い換えるとこれらの専門医を含めた90%以上は開業ということになり、通常の歯科診療だけではやがて淘汰されることになりかねない。なぜなら一般歯科治療に習熟していない専門医が多いからである。現在、病床規制があり容易に入院施設は持てない状況であるが、リカバリーベッドは持てる。口腔外科や歯科麻酔専門医が開業する際は、障がい者や在宅訪問診療の後方支援施設として専門医の知識とスキルを発揮できる有床歯科施設またはリカバリーベッドを持った施設の開業を目指して欲しいと思います。
日本有床歯科施設協議会 副会長 佐々木研一